[レビュー] 鈴木愛理写真集「6月の果実」(ワニブックス/根本好伸/2800円(本体)

℃-uteのエース、鈴木愛理の3rd写真集。というか、℃-uteでは鈴木愛理矢島舞美ばかり写真集が出るこの状況を何とかして欲しいわけですが…。1st写真集はアライテツヤ、2nd写真集は河野英喜、で3rdは根本好伸、と撮影者もアイドル写真集界のエース級揃い。でも、手堅い仕事が光るメンバーばかりなので、結果としてどれも手堅い内容になっており、違いが出にくくなる傾向にあるようです。

この写真集、表紙はかなり微妙です。正直、この表紙で購入意欲が削がれた部分もある。裏表紙は可愛さが出ているので、表紙の選択に疑問が残る感はある。衣装は制服風が2パターン、夏っぽい露出度の私服が点在し、水着は3パターン、レオタード(といってもハイレグっぽいのではないので、念のため)という変わった素材も出てきます。水着が3パターンというのは2ndもそうだったし、まあ標準的な割合かな。ベレー帽などちょっと変わったチョイスも目に止まります。

鈴木愛理は、実は正統派の可愛さとか、美少女感は持っていない。結構微妙に写ることも多くて、その辺のマイナスポイントが表紙や、一部の写真では感じられます。八重歯を出してしまうと微妙になることも多いし、それ以外でもあれ?と思わせるカットもある。でも、それを補ってあまりある、不思議な、本当に不思議な可愛さを持っているんですよね。その可愛さがこの写真集でも点在しています。

その可愛さを説明するのは難しいのですが、例えば制服風の衣装でトランペットを持ってこちらを振り向いている写真とか、キャミソール姿でぬいぐるみを抱いている写真とか、ベッドの上でちょこんと座っている写真とか。凡庸とも思えるカット群の連続に、時折登場する奇跡のような可愛らしさ。普段の活動ではエース的存在なのに、写真集で見ると、そういう「分かる人だけ分かる」内容になってしまうところが、鈴木愛理の不思議さなんですよね。

万人が見てキャッチー、ではない物を「ファンにはお勧めできる」と表現するなら、これはまさしくそういう商品です。取っつきにくいのは間違いない。でも、「万人」でも、さっと流し見する人と、一応ゆっくり見ていく人と、2パターンある。後者の方には、この写真集の良さ、言い換えれば鈴木愛理の「写真での」良さが、伝わるのではないかな、と思います。(95点)


鈴木愛理写真集『6月の果実』(DVD付)


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